木材腐朽菌とは? 含水率などの4条件とその対策 続き
木材腐朽菌とは? 含水率などの4条件とその対策 続き
前回からの続きです。
「木材が腐る」とは簡単に言いますと、木材が一定以上の水分を含み、そこに菌類が発生し、
木材の成分が分解される=腐る=強度が落ちる ことを指します。
そして木材を腐朽させる菌類には、
褐色腐朽菌
白色腐朽菌
軟腐朽菌
の3種類になります。
そしてそして木材の主成分には「セルロースとヘミセルロース、リグニン」の3種類がありました。
ここでは上記の腐朽菌が木材を腐らせる条件をご紹介していきます。
①栄養素があること
➡これは先述の、木材の主成分である、セルロースとヘミセルロース、リグニンになります。
②水分があること
➡木材腐朽菌類は、これまでの説明のとおり生育に酸素を必要とする好気性の生物です。
木材は乾燥しているほど腐朽しにくいですが、では一体どれくらいの水分を含むと木材は腐朽するのかと言うと、通常の自然環境下に木材を放置すると、だいたい含水率が15%くらいです。
これを気乾含水率や平衡含水率といいます。
※全く水分を含んでいない状態を全乾と言います。また含水率の測定は一般のご家庭では困難なためここでは省略します。
そして湿気の多い場所に放置すれば、木材中の繊維(細胞壁内)にどんどん水分が吸収され、木材の含水率は上昇します。
細胞壁内が水分で満たされた(結合水で満たされた)状態で、含水率が約30%に達するとこれが繊維飽和点となります。
この繊維飽和点(含水率約30%)を越えると、細胞壁内は水分で満たされていますので、今度はそれ以外の細胞内腔に水分が貯まり始めます。これを自由水と言い、この自由水が存在する状態が、木材腐朽菌が発生し繁殖できる状態となります。ただし、自由水で細胞内腔が充満する=含水率100%になると、逆に木材腐朽菌は存在できなくなります。
ちなみに木材の保存方法に水中貯木というのがありますが、これはこの特性を利用して、含水率100%=酸素がない状態にして、木材を腐朽させないようにします。
③酸素があること
➡これは②でご説明したとおり、酸素がないと木材腐朽菌が生存できないからです。
④適度な温度であること
➡木材腐朽菌の種類により多少変化しますが、おおむね0度~50度の範囲内であれば、木材腐朽菌は生息できます。
⑤その他には、水素イオン濃度(pH:ペーハー)などもあります。
もともと木材のpHは4.5~6.5くらいであるのに対して、木材腐朽菌が生息できる範囲は5~6.5になりますので、ペーハーに関しては定常的に生存できる状態ではあります。
ということで、以上を総括しますと、結論として以下のことが言えます。
木材の含水率が20%以下であれば木材腐朽菌は生息できません。そして一般的な状態であれば木材の含水率は15%程度ですので、基本的に木材腐朽菌は生息できないことになります。よってこの状態をいかに維持するか、いかに木材の環境下を湿気させないかということが肝要になります。
そのためにプロの建築屋さんであり、シロアリ防除の技術を持った技術者に定期的に点検してもらうのが良いでしょう。
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