羽蟻が大量発生する原因は?対策は?

羽蟻が大量発生する原因は?対策は?

 

<羽蟻が飛ぶ理由は巣別れではない>

シロアリにとって羽蟻の群飛の意味は、主には繁殖というより巣内の個体数の調整(=口減らし)目的の可能性が高いです。

 

シロアリの羽蟻は、必ずしも羽根を付けた成虫の生殖が基本になっていません。(つまり、羽蟻が必ず次期女王!とは限らないということです)
もちろん巣分かれの意味もありますし、それで生息範囲が広がることも無いわけではありません。

あるいは、遺伝子的な多様性の獲得にもなります。

しかし、個々のシロアリ集団にとっての直接的な契機はやはり個体数の調整(口減らし)だと思います。

羽蟻を飛ばして、別の所で新たに組織を作るのかと思いきや、羽蟻の生存率が0.01%という数字があります。

仮に2万匹のヤマトシロアリの組織で、羽蟻となるニンフが2%として、単純に400匹の羽蟻が飛んだとしても、生存率が0.01%ですと基本的に全滅ということになります。

ヤマトシロアリで2万匹ならどちらかと言うと多い方ですので、生存数は更に減少します。

 

 

 

イエシロアリでも100万匹の組織で、羽蟻が2%で2万匹飛んだとしても、生存が2匹というレベルです。
これがあちこちの組織からバラバラに飛ぶので、かなり生存は難しいと言えます。

 

そう考えると羽蟻を飛ばすことは子孫を残す手段としては、成立しないということになります。
(そうすると、基本的に代々同じ土地の地下に幾つかの組織が存在していて、それが増えて分裂するから、たまたま床下に営巣した1つの組織が駆除されても絶対数は減っていかない、という考え方になります)

 

ですから、出て行った羽蟻はほとんど死ぬので、生き抜くために単為生殖したり、メス同士、オス同士でペアになる、ということも実はあり得ますが、それでも確率的には知れています。

よって、隣から羽蟻が出てこちらに飛んできても心配することはないのです。

 

アリ・ハチと異なり羽蟻は毎年出ません。
巣の成長期には、働きシロアリ(職蟻)を産卵することが重点で、兵隊シロアリ(兵蟻)ですらあまり生産(出産)しません。各階級の割合も集団の事情によって様々です。

 

例えばある環境下で、これ以上巣の規模を拡大できない(にもかかわらず女王の産卵能力が大きい)場合に羽蟻が生まれるのです。口減らしですから。

あるいは、自分たちの集団はまだ成長期なのに、下手な業者の下手な駆除処理で集団は無傷なのに活動環境が狭められる場合も羽蟻が出ます(業界で言うところの「再発生」)。

または、新築工事で環境が一変し、集団は生き残って活動量が激増し個体数も増えたが、それを維持できない環境(巣の拡張などが困難)の場合も羽蟻が出ます。

新築1年目でいきなり羽蟻が出たりするのはこのケースです。

冒頭のタイトルに戻りますが、羽蟻が大量発生する理由は、「口減らしをできるほどの組織が、既に床下などに存在するから」

となり、対策は、「そうなる前に、定期的にシロアリ技術者の点検を受けておきましょう」ということになります。

あくまでも点検です。 高いお金を払って薬剤を散布しましょうと言う意味ではありません。

 

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