羽アリとシロアリの違いは?どういう関係? 愛知、岐阜

羽アリとシロアリの違いは?どういう関係? 愛知、岐阜

 

 

羽アリとシロアリの違いについて

お風呂場の脱衣所や部屋の隅っこから羽アリが飛び出してきたら、普通の方なら大騒ぎでしょう、「家をシロアリにボロボロにされる」と。

その危険性はありますが、必ずしもそうとは限りません。詳しくは後ほどご説明しますが、その前にまずは羽アリとシロアリの違いについてご説明します。

 

羽アリとは何か

そもそも羽アリとは、普通のシロアリに羽が生えただけなのですが、このお話をするには、まずシロアリの生態や階級のお話をしなくてはなりません。

 

シロアリが繁殖するのは、女王がたくさん産卵するからです。(多いと1日に数万)
そしてごく一般的な昆虫であれば卵から孵化(ふか)したら、初めは幼虫やウジなどの状態で、親や大人(成虫)からエサをもらうなどの保護を受けますが、シロアリは孵化した状態で既に成虫とほぼ同じ姿をしています。

※シロアリは「不完全変態」と言って、成長するプロセスにおいてサナギの時期を経ずに成虫になります。(ゴキブリなども同じ)

 

そしてそれらは職蟻(しょくぎ)と言って、働きアリや働きバチのような存在になります。組織全体の90%くらいがこの働きアリです。

その後、脱皮などをして一部は兵蟻(へいぎ)と言って、兵隊アリのような存在に成長し(全体の10%くらい)、一部はニンフと言って、次期女王や王の候補になります。(組織の2,3%くらい)
このニンフ(nymph)とは、不完全変態をする種の幼虫を意味します。

※ちなみにシロアリは生まれたときは、働きアリや兵隊アリなどの階級の差は基本的にありません。成長の過程で、巣の中の各階級の比率がバランスよくなるように、女王がその都度フェロモンを出して「変化」させます。

 

シロアリは幼虫と成虫の区別が殆どありません。脱皮はしますがシロアリの色を見ればお分かりになるように、脱皮しても表面が白く、成虫というイメージではありません。他の昆虫で言うところの幼虫のような姿をしています。

あまり外気にさらされて生きられないのは、そういった理由でもあります。

 

そしてこのニンフが脱皮すると羽アリになります。全体の2,3%ですが、ヤマトシロアリの場合は組織全体で数千匹~1万匹ですので、羽アリの数は数十匹~数百匹くらいで、イエシロアリになると一つの組織で100万匹くらいの個体数ですから、羽アリは数万匹という数になります。

これが種によって多少異なりますが、5月~7月くらいに、家屋などから2,3回に分けて一斉に飛び立つわけですから、それは驚かれると思います。

 

というわけで、羽アリとは、女王や王の候補となる幹部候補生というイメージになります。

 

 

羽アリが発生する原因と対策

羽アリというのは、先述のとおり女王や王などの組織の幹部になる候補のシロアリで、2、3%の割合で存在することが分かりました。

 

羽アリが発生する原因

そしてこの羽アリが発生する理由としては、いくつかありますが概ね以下の2点になります。

 

巣別れのため
これはどの生物でもそうですが、子孫を残して種を存続させることが本能としてプログラムされています。
ですので、種の存続のため一定期間ごと(毎年か数年に1回か)に羽アリを巣外へ放つため、組織内ではニンフの数をある程度増やします。
これは1か所の巣が突発的な原因で壊滅してもいいようにリスク分散をしているのです。
ニンフたちはオスもメスも存在し、生殖機能も持っていますから、新たな活動の場所で新たに組織を構成するわけです。
ただ生存率から見ると、種を存続させるための第一義ではないようです。なぜなら羽アリの生存率は、約0.01%程度と言われているからです。

 

口減らし(リストラのような人数調整)
上記のとおり、来るべき巣別れの時のために、幹部候補生であるニンフを増やしていくわけですが、これが思いの外、増えすぎてしまうことがあります。
要因としては、巣をもっと拡張する予定だったのに思ったほど拡張できず「住むスペースが無い」ですとか、女王アリの産卵の量が多くシロアリの数が増えすぎてしまい、同じく住むスペースが無いといった理由です。

 

以上のように、巣の大きさ対して、シロアリの個体数が増えすぎてしまった場合、そして巣の拡大が思うようにいかない場合は、シロアリを減らすしかありません。

そこで口減らしのためにシロアリを外に放出するのですが、どうせ出すなら生殖機能を持ったシロアリを出した方が、新たな営巣の可能性があります。
それが「ニンフ」です。 女王がフェロモンを出し、ニンフに羽を生えさせます。

こうした理由で羽アリが出るのです。 (先述のとおり、放出しても生存率が低すぎるので、殆どが全滅ですが)

 

 

また成長期の巣の場合は、あまり羽アリは出ないです。
なぜかと言うと、その環境がシロアリに適していたから巣を成長させようとするわけなので、できるだけ巣を拡張してシロアリの数も増やそうとするので、羽アリにして外に出すのはもったいないとなるわけです。

 

よって、羽アリ発生の原因はこんなところです。
そして羽アリの対策ですが、羽アリが出るということは、既に巣として充実している可能性がありますので、木材も食害されている可能性はあります。(あくまでも可能性)
ですので、まずは床下などを点検して現状を把握することです。
ヤマトシロアリの羽アリか、イエシロアリの羽アリかによって状況も変わってきますし。イエシロアリの羽アリであった場合の方が比較的厄介なことが多いです。

※ヤマトシロアリは黒っぽく、イエシロアリは茶色っぽいのが特徴です。

 

間違えてはいけないのが、羽アリが出た時がスタートではないということです。ですから慌てる必要はありませんが、まずは床下の点検から始めましょう。

 

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